売りたい不動産が都市計画道路予定地だった!価格や売却可能なのか解説

遺産相続や離婚の際に入手した土地を売却しようと検討していて、いざ不動産屋に行って調べたら都市計画道路予定地に入っていて困ったという経験をしたことがある方は少なくありません。売却できるのかどうか分からないという点にも困りますが、そもそも計画道路予定地が一体何なのか把握していないという方も多いことでしょう。

ここでは都市計画道路予定地に関する基礎知識に加えて、計画決定段階・事業決定段階のような売却の可否を左右する要素、土地収用後における事業者から補償される金銭の内容などに関して詳しく解説していきます。

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都市計画道路予定地とは

都市計画道路予定地とは、その名の通り日本の法律・都市計画法に基づき道路を整備する計画が立っている土地を指します。都市計画法とは、都市の健全な発展を目的として1968年に定められた法令のことです。機能的な街づくりのために、道路や上下水道などのインフラをどう整えるべきかを定めています。

この法令に基づき、各自治体は都市化を進めます。健全な街づくりに必要であれば、道路の拡張や増設が計画されるのですがこの対象となる土地が都市計画道路予定地となる訳です。なお土地計画道路予定地はあくまで計画段階であり、その時点では事業が正式に決定してはいません。この予定地に指定されていても、10年以上もの間計画段階の状態で放置されている事例も少なくないです。ただ事業が正式に決定すれば、行政側との交渉の後に土地は収用されることとなります。

計画決定段階と、事業決定段階

都市計画道路予定地の対象となる土地には、大きく分けて2つの段階が存在します。土地の収用が予定されている計画決定段階と、収用が確定している事業決定段階の二種類です。先に結論から言えば前者は基本的に売却できる段階であり、後者は売却できない状態となります。ただ売却が可能と言っても建築に関して制限がかかっていたり、不可能とはいえ対象から外れる箇所については売却ができたりとそれぞれ条件や細かい制限が異なります。

個別に細かい事情を見つつ、予定地への知見を高めていきましょう。 まず土地の収用計画が立った状況である計画決定段階を見ていくと、こちらはまだ漠然とした計画しか画策されていません。たとえば事業が開始される時期や工事を行う事業者、工事の計画などは未決定です。土地収用に関する交渉だけでなく、工事の説明なども実施されていないため都市計画道路予定地を含んだ土地・資産を売却することはできます。 気を付けておきたいのは、計画が決定してしまうと建築制限が生じる点です。この段階では先述の通り土地の売却に関しては制限がないものの、建築については一定の制限が設けられてしまいます。

都市計画道路予定地を含む土地に家を建てる場合、都市計画法第53条に反することのないように注意しながら都道府県の知事の許可も得なくてはなりません。なお政令指定都市であれば、市長の許可が得られれば建築可能です。建築制限に関する内容は、各自治体によって異なるため細かい条件は土地の属するエリアの自治体で確認しましょう。 一般的な条件としてよく挙げられるのは該当の土地から移転・除去が容易に行えること、地下室など地階がなくしかも2階以下の建物であることです。

また主要な構造部が木造および鉄骨造、もしくはコンクリートブロック造であることも条件となっているケースが多いです。計画段階とはいえ道路予定地となってしまった以上、鉄筋コンクリート造など耐久性が高く移転・除去が困難である建築物は許可ができないという事情を理解しておきましょう。 売却する側が忘れてはいけないのが、建築制限がある旨を重要事項説明書に明記しておくことです。何も知らずに購入した土地に、建築制限があったら大問題になってしまいます。

もし売却側が土地を売る際に、この事実を伝えていない場合は契約不適合責任が問われる可能性があります。そのため売却時には、必ず建築制限に関する条項を説明書に明記して伝えるようにしてください。 一方で建築制限が緩和される土地もあり、これを緩和規定と呼びます。自治体によって緩和規定が定められていれば、一部の建築に関する制限が緩められています。この対象となる土地は、計画段階にあるものの長期間にわたって事業が開始されていない箇所です。該当するものとしては、経済成長期やバブル期に計画された土地が多い傾向にあります。

不況が長続きしていて国や自治体の財政が悪化している現状において、事業がいつ開始できるのか不明な計画も少なくないです。この状況を鑑みて多くの自治体の手によって、建築制限の緩和規定を実施しているという訳です。緩和規定の内容は自治体によって異なりますが、該当する区域の事業の開始が近い将来において見込まれていないこと、再開発や区画整理など市街地開発事業の妨げにならないこと、地下室および3階までであることなどの条件は共通しています。

他にも主要の構造部が木造・鉄骨、コンクリートブロック造であり移動・撤去しやすいことなども共通事項です。都市計画道路予定地の内外に建築する予定であれば、将来その区域内にある箇所を分離できるように設計段階で配慮することも盛り込まれている自治体もあります。建物の階数や高さなど緩和されている条項が多いものの、計画の予定地である以上は移転・除去が容易であることは条件であると覚えておくことが大事です。ちなみに売却に関しては、緩和路線の場合事業が実施されることは限りなく低い可能性であるため、売却への支障はほとんどないケースが大多数となっています。

建築制限があるものの再建築不可物件のような厳しい規定がなく、さらに緩和路線となっていれば条件はより緩和されるからです。ただ事業が万が一決定された場合は収用されるリスクがあるため、それを加味しつつ都市計画道路予定地の売却価格を設定すると良いです。 次に該当する土地の収用が確定している、事業決定段階について見ていきます。事業決定とは都市計画における事業の許可が下りていて、具体的な工事の事業者や日程など工事計画が組まれている段階です。この段階になれば対象となる土地は収用に向けての説明、補償金の交渉や支払いなどの手続きに移っています。

諸々の手続きが完了すれば、実際の道路の造成工事が始まるステージです。当然ながら都市計画道路予定地のゾーンは、原則的には家を建てることはできません。 事業が決定されて工事計画が立った段階では、都市計画道路予定地は自治体に収用されます。そのため土地の売却は不可能となりますが、あくまで不可とされる部分は都市計画道路予定地の箇所です。つまり所有している土地の中で、予定地に該当しない部分に関しては売却可能です。

気を付けなくてはならないのが価格であり、収用されることで土地がどのように変化するかで値段が大きく変動してしまいます。 収用される面積が小さいほど、値下がりの幅は小さくなります。都市計画法に基づき事業決定が行われ、予定地は分筆されたのち収用されますがその面積が小さくて残された土地に影響が少ないケースは価格が下がりにくいです。特に家を建てる上で問題がない程度であれば、値下がりはほとんどないと言って良いでしょう。

残された箇所の土地では建築制限も解除されて、建築基準法の範囲であれば自由に建てられます。すなわち通常の土地と同じように建築できるため、売却に支障が出ることはないと言えます。 しかし収用されて残った面積が少なかったり、形状が住居に向かない形に変化したりする場合は土地の価格が大きく値下がりする可能性があるため注意が必要です。真ん中が道路の予定地として収用され土地が分断されたり、一部が切り取られたことにより歪な形状になるという事例も珍しくないです。

土地収容後の、事業者からの金銭補償の内容とは

都市計画道路予定地となった土地が収用される際、土地の所有者には金銭による補償が受けられます。持ち主が損失を被らないように国土交通省によって定められた措置であり、事業者が補償する仕組みです。土地収用法によって定められた法令・損失補償では、さまざまな形で持ち主に対価が手渡されることとなっています。

この法律の第71条では土地に関する補償が挙げられ、正常な取引価格でやり取りが行われます。この補償額については取引時例価格や公示・基準価格、不動産鑑定評価を基に適正な価格が算定されるため安心です。同じ71条には、土地に関しての所有権以外の権利に対してもその補償が与えられます。不動産移転に掛かる費用、すなわち引っ越しや移転時の仮住まいのための費用が該当します。

もし居住地ではなく賃貸住宅を経営しているのであれば、家賃が減少する分もその相当額が補填されるのも同条項です。これらに加えてお墓や神社仏閣の移転費用、工場・店舗が移転に伴って休止する間の費用もその対象です。 収用したことによって形・面積が変わり、その影響で価値が減少した分を取り戻せる残地補償も定められています。

これは土地収用法の第74条に記載されており、正式な価格に関しては信頼できる不動産事業者に相談すると良いでしょう。 物件の補償すなわち建物に関しては、同法第80条にその旨がまとめられています。移動や撤去などそれぞれの方法ごとに、内容や費用が細かく定められています。家を一度解体して再建築する再築工法、家を浮上させて収用される土地の外へ運び出す曵家工法、建物の一部を除去して残った部分に関しては増改築する改造工法などが主な条項です。

はみ出した部分だけを解体・除去する方法、移転によって解体した看板・門や塀など工作物の補償、立ち木の伐採および移転の補償なども含まれます。 この他に損失補償を受けられる、対象の人物を定めた法律もあります。該当する条項は、土地所有者とその関係者のみと定めた第68条です。なお収用した土地に接している隣人が損失を被った場合は別の法令によって守られており、それが第93条です。手続きや交渉については、収用委員会によって裁決が行われて損失補償内容と権利取得時期が決められます。第48条および49条に記載されている内容に従って決定したのち、事業者が権利取得の時期までに金銭などの支払いを行うという訳です。そして権利取得とともに、元の持ち主は土地・物件に関する該当箇所の権利が消滅します。

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