不動産の所有者・共有名義人が失踪!売却や手続き方法などに困った時

共有名義の不動産を所有しているものの、共有者の一人と連絡をとれないとすると共有不動産全体を売却するなどのアクションをとることに難渋することになります。共有物の処分は全員が一体となって意思統一をして処分行為につき同意することが前提になっているからです。

しかし昨今の社会情勢を踏まえると、名義人のひとりと連絡がつかないまま失踪状態のままになっていることも珍しくありません。 共有者の誰かが失踪状況になるというイレギュラーな状況でも、対応することは可能です。弁護士や司法書士などの専門家のサポートを受けながら事態解決の手段を探りましょう。

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行方不明の親族に代わり売却するには

家や土地などの不動産登記名義人から名義を移すには、売買や贈与などの取引行為が介在することが前提になります。不動産は資産価値高く、名義人の関与がないまま処分行為が許容されれば、名義人の財産権への深刻な侵害になるからです。取引行為がないとしても名義人が死亡していれば、相続登記の対象になり相続人同士の同意を取り付けることができれば、所要の名義人に変更することはできます。

相続というのは、名義人が死亡しており戸籍類でも確認することができて初めて可能になります。この取り扱いは、被相続人が「行方不明」の場合には妥当しません。民法上の行方不明とは、戸籍や住民票などの変遷を確認し、住所地の状況を実地調査するなどの手段をつくしてもなお所在を確認できないことを意味しています。単に「連絡が取れない」というだけでは、それ以上に手続きを進捗させることはできません。

例えば連絡をとれないまま長期間が経過し、くだんの人物の年齢が100歳を超えていると推測される場合でも、市町村などの自治体の判断で「認定死亡」されるにとどまります。 認定死亡はあくまで行政上の便宜のためになされるにすぎず、行方不明の親族について法律上の相続手続きに移行するわけではないわけです。つまり現行の法律では行方不明の人物について、相続が開始したと認定されることが問題になります。このように行方不明の親族について、相続を開始したものと法律上認定する制度に、「失踪宣告」というものがあります。

失踪宣告とは、生死不明となってから一定以上の時間経過をたどったと裁判所が判断した場合に、対象者は死亡したものとみなされる民法上の制度のことです。失踪宣告には二種類があります。 普通失踪は最後に連絡をとれてから以降、7年間音信不通になっている状況に於いて死亡したものとみなされる制度を指します。これに対して、失踪原因は明白で生存しているとは類型的に想像できない場合もあります。震災や戦争・風水害などに遭遇し、生存する見込みがないことも行方不明につながることもあるでしょう。

このような状況に対応するのが、特別失踪です。特別失踪では、行方不明の原因となった戦争や自然災害などのトピックに遭遇してから1年後に、当該危難が去ったのちに失踪宣告がくだされます。 ただし失踪宣告はあくまで、裁判所が客観的理由を根拠に行方不明となった人物について、相続が開始したものとみなすだけで、去来した場合は申し立てにより取り消すことができます。

2.相続登記が必要

失踪宣告の事由に該当するときには、行方不明となっている御仁の住所地を管轄する家庭裁判所に失踪宣告の申立てをすることになります。申立てすることができるのは、法定相続人のほか遺贈を受けた人など法律上の利害関係を有していることが必要です。申立てに際しては申立書のほか、行方不明者の出生から最後までの戸籍類・失踪状況の調査報告や利害関係を証明する書面が必要になります。

申立て費用の実費は収入印紙800円や官報公告料・特別送達のための郵便切手などの用立てが必要です。 失踪宣告が出されたら、確定後10日以内に行方不明者の本籍地、もしくは申立人が住所をおいている市役所に失踪宣告の届出をすることになります。失踪宣告の届出にあたっては、審判書謄本と確定証明書の添付が必須です。

失踪宣告の申立てが完了しても、登記名義は行方不明者のままになっているので第三者に登記名義を移転することはできません。第三者への名義変更の前提として相続登記が必要になります。相続登記にあたっては、名義人の出生から死亡とみなされるまでの戸籍類すべてと、法定相続人の現在戸籍や、遺産分割協議書と実印押印などが必要です。行方不明名義人の名義変更は難易度が高いので、専門家のサポートは欠かせません。

3.不在者財産管理人の選任が必要

不動産登記名義人と連絡をとれない事態としては、住所を移してしまって現状では連絡をとれないという状況もありえます。失踪宣告ほど確固たる証拠はないものの、事実上関係者が連絡の手段が存在しないというのが典型的です。具体的には独立して、両親が死亡したもののきょうだいなどの親族とは没交渉になっているというものです。

平たく言えば、どこかで息災にしているのだろうが連絡の手立てがないという状況が想定されます。このような状況に対応するのが、「不在者財産管理人」という民法上の制度のことです。不在者財産管理人とは、不在者の法定代理人に就任し財産を管理することを職責としており、財産管理のほか第三者への売却などの領域もカバーします。失踪宣告と異なり7年間の時間経過や、行方不明者の生死も問題となりません。それでは不在者財産管理人を選任して、行方不明者の不動産を売却処分する流れを確認しておきます。

不在者財産管理人は申し立て資格には特に限定はありませんが、申し立てる側で候補者を提案することができます。行方不明者の資産の規模や管理の難易度、候補者の属性などによって弁護士や司法書士などの専門家が選任されることもあります。家庭裁判所への申立てにあたっては、審判書のほか行方不明者の戸籍類、不在の事実を証明する戸籍の附票や報告書、利害関係を証明する書面などの添付が求められます。

不在者財産管理人申し立ての実費は、収入印紙800円のほか特別送達する関係者分切手などが必要です。 不在者財産管理人が選任されたら、不在者の財産状況などを確認したのち家庭裁判所に第三者への倍局処分についての権限外許可の申立てをすることが必要です。不在者はあくまで行方不明者が去来するまで財産管理をすることを職責としているため、第三者への資産売却はイレギュラーな事態と考えられます。したがって裁判所の許可を得ないで、第三者に売却するのは法律上無効とされているわけです。

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