知らぬ間に!借地権に贈与税がかかるケースとは。損しない為に知っておくべきルールとは

建物を建てる目的で土地を借りる権利の借地権は、知らぬ間に贈与税がかかってしまい、損をすることがあるので注意が必要です。 借地権を持っているからといって、必ずしも贈与税がかかるとは限りませんし、かかるかどうかはルールによって決まります。

つまりルールを知っておけば、知らぬ間に借地権に贈与税がかかったという事態が避けられますし、万が一贈与税が発生しても理由が分かるので納得できます。 借地権が贈与税の対象になれば、知らなかったという言い訳は通用しませんし、支払わないわけにはいかないので、ルールを知って万が一に備えましょう。

売却をお急ぎでご検討の方へ。最短で査定と解決のご提案が可能です

交渉から取引まで、訳あり物件専門の当社にお任せください

贈与税がかかるケースとは

贈与税がかかるケースには、借地上の建物の名義が変わったり、権利金を支払わず地代だけ支払うようなケースが挙げられます。 借地権の底地にあたる部分を地主から買い取る場合も、同様の贈与税がかかることになります。 借地上の建物の名義変更は、例えば子供の名義に変えた時などに、親から子に借地権が贈与されたと判断され贈与税がかかります。 子供の将来を考えて名義を子供の名前にしてから家を建てる、そういう場合も贈与とみなされるわけです。

ただ借地権の使用貸借に関する確認書を提出する場合は、借地人を変更せずに済むので、贈与税がかからなくなります。 権利金を支払わず、地代のみ支払うケースというのは、子供から地代だけ受け取って借地権を転貸するような場合です。 借地権を転貸すると、借地人はそのままに借地上の建物を子供名義にすることが可能です。 一見して贈与税がかからない良いアイデアに思われますが、借地権の転貸で又借りする人が借地人に権利金を支払う地域だと、このやり方は上手くいかないので注意です。

権利金は法律で支払いが義務づけられているわけではないものの、地域によっては慣行で支払うことになります。 そして、権利金の授受は贈与とみなされる可能性が高く、贈与となれば権利金に相当する額が課税対象となるので気をつけましょう。 余談ですが、権利金の額は更地価格に借地権割合を掛けて算出します。 例えば更地価格が3,000万円で借地権割合が60%の場合は、1,800万円が贈与とみなされる金額です。

名目が権利金でも、相場に照らし合わせて明らかに安い時は、差額分が贈与とみなされます。 借地権の底地部分を地主から買う、このケースには借地人が親で、子供が買い取る場合があてはまります。 贈与税がかかるのは子供が買い取る借地権の部分で、新しい地主が子供になるのが理由です。 親子であっても、子供が地主なら親が地代を支払う必要がありますが、実際には支払われないケースが殆どです。

そして地代の支払いがないと土地の使用貸借にあたり、借地権が子供に無償で譲渡された形となるので、贈与税がかかってしまいます。 ただし借地人の地位に変更がない旨の申出手続のような回避策もあるので、対策を知っていれば贈与税の支払いは避けられます。 逆にいえば知らないと突然のことに驚いたり頭を抱えることになりますし、何より損をしてしまいますから、贈与税に関する知識はしっかりと頭に入れておきたいものです。

贈与税がからないケースとは

一方で贈与税がかからないケースには、賃貸借契約を結んだり書類の提出を行う場合などがあります。 相場に見合う権利金と地代を支払った上で賃貸借契約をすれば、贈与とみなされることがなるなるので、贈与税の課税対象ではなくなります。 そもそも親子間でのやり取りで贈与税がかかってしまうのは、相場より安く権利金や地代を支払ったりするような状況です。

つまり、支払うべき権利金や地代の支払いがないと、容赦なく贈与と判断されてしまうわけです。 贈与ではなく通常の取引と判断してもらうには、他人とやり取りをするのと同様にこれらのお金を支払い、更に賃貸借契約を結ぶのが正解となります。 ここまですれば第三者に借地権と転貸するのとそう違いませんし、誰からも贈与にあたると言われることはなくなるでしょう。 借地権の使用貸借に関する確認書を提出する場合も、贈与税がかからないケースの1です。

これは親名義の借地に子供名義の家を建てるケースで有効な手段で、借地権の使用貸借に関する確認を所轄の税務署長に提出することで、贈与税がかからなくなります。 借地権の使用貸借に関する確認書は、権利関係を明確にする為の書類で、建物の名義を子供にしても借地人は親名義のままにできる方法です。 子供名義の家を建てると贈与税がかかるのは、借地権が登記されていなかったり、贈与にあたるのか使用貸借にあたるのか外からは分からないのが原因です。

借地権が使用貸借だと明示することができれば、贈与という判断にはならないので贈与税もかからないわけです。 この確認書は、親子と地主の連名で作成して提出することになります。 親が借地する土地の所有権を子供が地主から買い取る場合は、借地人の地位に変更がない旨の申出書を所轄税務署長に提出すれば、贈与税の支払いが回避できます。 親子間で地代の授受があるなら別ですが、授受の事実がなくて親から子供へと借地権の贈与がないなら、申出書の提出でそれを明確にすることが可能です。 親子間で地代の支払いがない、借地人が親のまま変更がないケースで有効です。

借地人の地位に変更がない旨の申出書は親子の連名で作成する書類で、借地権の使用貸借に関する確認書と同様に、国税庁の公式サイトからダウンロード、プリントアウトして使えます。 このように、贈与税は贈与にあたるとみなされてしまうのが原因ですから、そうではないなら契約や書類の提出などで明確にすれば解決します。 大切なのは外から借地権や地代のやり取りがどう見られるかなので、そこを意識すれば課税を避ける方法も見えてくるはずです。

贈与税の支払い時期

贈与税の支払いは、実は国や都道府県などから通知を受けて、それに基づき支払う形にはならないので注意です。 贈与税は、贈与を受けた人が自ら計算して納める、自己申告が必要な税金です。 当然ながら知らなかったでは済まされませんし、放置する形になれば無申告でペナルティが課せられることにもなり得ます。 贈与税の支払いは、原則として翌年の2月1日~3月15日の間です。 それまでに贈与税の計算をしたり書類を作成して、間に合うように提出することが求められます。

申告書類は税務署にもありますが、国税庁のサイトでも提供されているので、わざわざ出向かなくても用意できます。 提出期限日が土日祝日にあたる場合、その期限は翌日となります。 申告が期限に間に合わなかったり、課税額が小さくなるように過少申告してしまうと、加算税や延滞税も支払うことになるので気をつけたいところです。 仮にもし意図的ではないとしても、借地権の贈与のように贈与税が高額になる恐れがある場合は計算ミスや過少申告を避ける為に、弁護士などの専門家に相談をおすすめします。 贈与税が高額になる時は、延納という形で納めることが可能です。 延納は分納で贈与額を納める方法で、最大で5年間にわたって支払うことができるようになります。

なぜ延納という仕組みが用意されているかといえば、それは借地権が簡単に現金化できる性質のものではないからです。 ケースによっては贈与税が数百万円どころか1,000万円を超えることもあるので、期日までに全額を用意して一括で納めるというのは酷です。 だから延納が認められていますし、贈与税額が10万円超で金額的に金銭で一括納付が困難な場合に分納が可能となります。 延納申請書や担保提供関係書類の提出と、税額に相当する担保の提供が前提ですが、申請書を提出すれば3ヶ月以内に可否が決まります。

贈与税は時効が6年、故意の無申告だと7年ですが、時効が成立することはまずないので油断禁物です。 贈与税の時効が成立することがあるとしたら、贈与が発生した時期を証明して認められることが大前提です。 登記を伴う名義変更などがある契約が行われると、それが税務署に知られるので、その時点で贈与が疑われることになります。 申告する贈与の時期と、税務署が登記の変更に気がついたタイミングにズレがあれば、意図的な税逃れとみなされる恐れがあるので注意しましょう。 自己申告の贈与税はうっかり支払いを忘れてしまうこともないとはいえませんが、支払いから逃れることはできないので、ミスに気がついた時点で正直に申告するのが望ましいです。

借地権は複雑な為、生前贈与も検討すべき

借地権の相続税評価額などの計算は複雑な傾向で、不動産鑑定士や税理士に相談しないといけないことも多いですから、難しいと思ったら生前贈与も検討してみましょう。 借地権の贈与税は、(贈与財産価額-110万円)x税率-控除額が基本となる計算式です。 最初に贈与財産価額を計算して次に基礎控除の110万円を引き、税率を掛けて控除額を引く流れです。 贈与財産価額の計算は相続税評価額を用いて、土地の評価額に借地権割合を掛けるのが一般的なやり方です。

土地を評価する方法には路線価方式と倍率方式がありますが、路線価が定められているかどうか確認することが必要です。 路線価の確認は路線価図・評価倍率表で行いますが、借地権割合についても確認可能です。 路線価図・評価倍率表は国税庁のサイトにあって、誰でも見ることができるようになっています。 借地権の評価額算出で注意を要するのは、土地の形などで補正率が異なり、補正を考慮して計算しなければいけないことです。

借地権が旧法借地権、普通借地権でない場合は、定期借地権だった場合に贈与時の借地人に帰属する経済的利益、借地権の残存期間も考慮しなければいけないので大変です。 だからこそ専門知識を持たない人には非常に難しいですし、不動産鑑定士や税理士といった詳しくて頼りになる士業が存在しているわけです。 借地権の生前贈与は、親子間であっても第三者に譲渡するのと同様に扱われることになります。

地主への承諾や承諾料に名義書換料が発生するのも同じです。 生前贈与を検討するなら、これらの費用に加えて贈与税が多額になる恐れがあること、特別受益とみなされる可能性があることを理解する必要があります。 贈与税の控除額は110万円と小さく、控除される特例も殆どありませんから、生前贈与をすると思いがけない高額な贈与税が発生してもおかしくないです。 贈与税は税率も高く高額になるケースが多いので、生前贈与を決める前にしっかりと計算することが大事です。

おおよその贈与税が分かり生前贈与を決めたら、納税に必要なお金の用意となります。 特別受益は借地権の生前贈与でそうみなされることが多いです。 これは、相続が発生する前に相続人が亡くなった人から、特別に利益を受け取っていることを意味します。 特別受益は、普通の相続財産分配を考えると不公平が生じるので、贈与税の課税対象になるわけです。 実際にそうみなされるかどうかはケースバイケースですが、注意しないと贈与税がかかるので、心配であればまずは専門家に相談しましょう。

売却をお急ぎでご検討の方へ。最短で査定と解決のご提案が可能です

交渉から取引まで、訳あり物件専門の当社にお任せください