借地権付き建物と、通常物件との相場の違いや売却時の注意点を解説

土地建物を一括売却するのが中古住宅では一般的です。しかし建物を占有する権利は所有権だけとは限りません。杓地上に自己建物を建設してから、借地権付きで売買対象とする取引も可能です。建物と土地の所有者が違うことにより、通常の売買取引とは異なるポイントや注意点があります。

とくに地主が登場することで関係当事者は3人となり、利害関係の調整には細心の配慮が必要です。借地人という曖昧な法律上の地位にあることに起因する、特性を踏まえトラブルに発展しないことを大事にしましょう。 通常物件との相場や売却時の注意点などを御紹介します。

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借地権付き建物と一般建物の違いとは

借地権付き建物とは、借地権に基づいて土地を占有し自己所有の建物を建築していることです。一般建物では底地も建物も同一の所有者に帰属しており、いわば100%自己オーナーということが出来ます。これに対して借地権付き建物は、土地所有権は地主に帰属し、建物所有権は借地人に帰属します。自己所有土地に第三者の建物などが存在する状況は不法占拠になり、建物明け渡し請求の対象になるはずです。

借地権付き建物では地上権か賃借権などの占有するべき法的権利を保有していり為、他人所有の土地の上でも適法に建物を所有し利用することができるわけです。このように土地と建物所有の帰属先が分かれることで、法的事象において色々な違いが見られます。 まず土地を売る場合、地主の自己判断で実行することが可能です。借地権のオーナーの地位は、新たな土地所有者に引き継がれますが、従前の契約条件が継続することが前提になるので、店子である借地人の承諾を得る必要はありません。 これに対して借地人が自己所有の建物を売却するときには、かなり様相が違って来ます。借地人が自己所有建物を売却すること事態は何の制限もありません。

自己所有物を売却処分するにすぎないからです。しかし建物は占有権限なくして、処分をすることはできません。建物に設定されている借地権は、建物に付随する権利として建物所有権にともなって第三者に移転するものとされています。 しかし地主にしてみれば、店子が突然代わることには重大な利害関係をもっています。毎月の賃料を延滞なく支払うだけの経済力8を、新たな買受人がもっているとはかぎらないからです。

そこで建物所有権移転に伴う借地権移転は、地主の承諾が法律上の有効要件とされています。地主の承諾は物件的効力をもつと認識されているので、地主の承諾泣き借地権上とは無効です。そこで借地権付き建物の売買にあたっては、地主とコンタクトをとり承諾料の支払いなど、交渉を取りまとめる必要があります。

借地権付き建物のメリット・デメリット

土地も建物も同一人所有を前提にするのが、中古物件売買の現場です。借地権付き建物は土地と建物の所有者が異なるため、特有のメリットがあると同時に注意するべきデメリットもあります。一般的に借地権付き建物は土地を購入することがないため、金銭的にリーズナブルにすむというのは確かです。予算面での優位性ばかりに目をむきがちですが、購入後に後悔することがないようで借地権付き建物全般の特性を俯瞰して購入判断する姿勢が求められます。 借地権付き建物のメリットとしては、①価格面で安上がりですむ、②固定資産税コストの低減、③更新を継続すれば半永久的に生活の本拠をかまえることが出来る、の三点を指摘することができるでしょう。

まず価格面ですが、①マイホームの購入費用は土地購入分だけ安く済ませることが出来ます。一般的に住宅の価格は底ちと建物により構成されています。価額の割合は所在場所や周辺の立地条件により異なりますが、仮に地価が高額なエリアで購入した場合、借地権付き建物を購入することでより割安感を実感できるかもしれません。

②マイホーム所有にともなう税負担コスとの中でも、固定資産税と都市計画税は無視できない金額になります。賃貸物件ではあくまで借りているだけで、対象物件を所有しているわけではないので固定資産税などは一切課税されることはありません。これに対して土地や建物を所有すると、毎年1月1日現在の所有者が固定資産税などの納入義務を負います。固定資産税の課税価格は、課税対象になる不動産の価格動向に左右されるのは当然で、地価の高い都市部になるほど税負担は高くなります。マイホームにすんで居ながら賃料を支払っているようなコストになります。

それでは借地権付き建物のデメリットには何が想定されるのでしょうか。まず①地代を毎月地主に支払うことになります。何年間居住しても自分の資産になることはなく、都市部などではコストの高さが意識されるかもしれません。 ②借地は地主の了解を前提にする権利のため、自己所有建物といえどどもリノベーションなどの大規模工事をするときには地主の承諾が必要になります。土地はあくまで地主のものなので、自由に使用することはできず、地主の承諾により施工を容認してもらう必要があります。 さらに③担保価値が低く住宅ローンを通過できないリスクも指摘されています。担保価値は借地権のついた「建物」になりますが、建物は20年程度で資産価値はほとんど0になるとされているからです。

借地権付き建物の売却方法と注意点

借地権付き建物を売却するには大別して、①第三者に売却する方法と②地主に売却する方法の二つの選択肢があります。第三者に売却する場合には、売主である建物所有者と購入希望を表明している買主、そして地主の三人が当事者になります。借地権付き建物の売買をする場合、借地権も付随して買主に移転することから地主の承諾が法律上の有効要件となっています。借地人の変更は重大な契約条件の変更であり、土地の利用にも大きな変化が想定され、今後の賃料支払の見通しなどにつき地主は重大な利害関係を保有しているからです。

つまり地主の許可がない限り、第三者に借地権つき建物を売却することは出来ません。地主から承諾してもらえる見込みも持たないまま、地主からの承諾を前提にして第三者との売却交渉を進めるのは後日のトラブルの原因になるので絶対に回避するべきです。地主とは承諾を取り付ける交渉をしながらも、購入希望者に対しては毎月の賃料や、残存する賃貸借期間、更新時の条件などを正確に伝えて円滑に売買を完遂するまでのていねいさが要求されます。

②借地権付き建物は、地主に売却することもあります。借地権は完全な所有権ではなく地主の承諾が効力要件です。面識もない第三者に借地権付き建物が売却されることを嫌がる地主のなかには、いっそのこと自分が買取り自己所有の建物にするというのは、一定のニーズがあります。地主に借地権付き建物を売却するには、建物ごと売却するほかにも更地にしてしまって売却するという方法もあります。更地は価格面では高くなる見込みがありますが、建物解体工事の費用は建物所有者の負担です。 もちろん地主が買い取ってくれるのかは保証できないので、いずれにしても契約が締結されるまでは具体的アクションに出るのは控えるのが賢明です。

ところで底地が広大で、借地権付き建物の底地が湿る割合が小さい場合、等価交換という選択肢もあります。地主としては面積が広すぎて買い手が見つからないことがあります。借地人からすれば永続的に賃料を支払い続けることになります。このようなジレンマを解決するのが等価交換です。 例えば土地の借地権と底地所有権を等価交換し、借地人は建物が所在する部分だけの所有権を取得し、底地所有者も底地となっていたあまりの部分を変換してもらうことで、土地の効率的な利活用を実現します。借地権付き建物は、地主の意向が全体のスキームに影響を与えるため、初期の段階から綿密にコンタクトを撮ることが必須です。

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