借地契約には権利金が必要?支払い相場や手続き内容を解説

地主から土地を借りる借地の契約をする際に、いわゆる借地権の設定が行われます。 この借地権の設定では一般的に、権利金の支払いが行われることになっています。 土地を借りる借主は土地の使用について強い権利を持つことになりますが、権利金は地主にその対価として支払う慣習だといえるでしょう。

ではどういった時に支払いが必要になるのか、支払うとしたらその相場はいくらか気になるものです。 支払いが不要になるケースもありますから、権利金が発生するタイミングや理由、手続きの内容と流れについても頭に入れることをおすすめします。

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タイミング別、借地にまつわる支払い費用

借地契約で発生する費用は、実はタイミングによって目的や金額が異なります。 例えば、手付金は借地契約が成立した時に、契約の成立を証明する目的で支払う費用となっています。 手付金を支払った時点で、その契約が成立していることになるわけです。 手付金には、土地の引き渡しと代金の支払いのタイミングの差を埋める性質があります。 不動産の取引は高額になりますから、現金でそれも一括払いをする人はまずおらず、住宅ローンなどの融資を利用するケースが殆どです。

住宅ローンの審査には日数を要するわけですが、審査結果が待てないといって地主が他の誰かと借地契約を結んでしまうのは困るので、契約の意思を明確にする為に手付金が存在しています。 ちなみに、手付金は契約金額の5~10%程度が相場となります。 解約手付は、手付金の役割の1つ解除権の留保に関する費用です。 契約書の手付金の種類に手付金とだけ書かれている場合は、一般的にこの解約手付を指します。

解約手付の存在によって、契約相手が契約に着手するその時まで、手付金を放棄することで契約を解除することができます。 ただ地主の売主は買主に対して、手付金の2倍を買主に支払う必要がありますが、支払いさえすれば無条件で契約が解除可能です。 とはいえ、契約の履行の着手の判断は難しく、契約の内容だったり契約解除に至るまでの経緯を含めて判断されます。 敷金は保証金とも呼ばれますが、借地権者に地代の滞納といった債務不履行が発生した場合に、充当する担保として機能するのが保証金です。

保証金はあくまでも担保ですから、地代の滞納や原状回復の不履行といった問題がなければ、契約が終了するタイミングで返還されます。 保証金は契約終了時に清算されるので、契約期間に地代の滞納が発生したからといって、保険金がすぐに充当されるわけではないので注意です。 仮に地主から地代の督促が発生した場合も保証金が充当されることはなく、地代の支払いは必要で、滞納が続けば借地契約の解除となるので気をつけたいところです。

期間の途中で契約が解除されると、滞納した地代や賠償金と原状回復費用も差し引かれてされることになります。 権利金は、地主に借地権の設定の対価に支払う費用に位置づけられます。 借地権を設定してもらった場合もそうですが、借地権が設定済みの土地を購入するにも、その代金として権利金が支払われます。 権利金に保証金のような担保の性質はないので、契約が終了しても返還されることはないです。

地代の前払いとして権利金が支払われる時は、地主の都合による借地契約の際に、その一部が返還されることもあります。 地代は賃貸における賃料のようなもので、正確には土地を使用させてもらう地主に支払う対価です。 借地権における地代は賃料を指しますが、地上権についても地代と呼ばれます。 地代は、民法では当月分を当月末の後払いと定められています。 しかし優先されるのは契約内容で、翌月分を前月末に支払うケースが多く、実質的に前払いになっているのが普通です。

契約にもよりますが、半年に1回や年1回というケースもあります。 更新料は借地契約の更新に必要な費用で、更新の対価に支払うものです。 手付金は契約金額の5~10%ですが、更新料は更地価格の5%前後が相場です。 更新料そのものは法律で支払い義務の定めはなく、契約書の中の更新料の項目の特約がある場合に支払い義務が生じます。 契約内容に特約がないなら、地主から支払いが求められても拒否可能ですし、勝手に契約を解除される心配もないです。 といっても、地主との関係を良好に保つ為に心証を悪くしたくないのであれば、更新料は支払った方が良いでしょう。

建て替え承諾料は、借地上の建物を増改築する時にそれを認めてもらう為の費用で、対価として支払います。 建て替え承諾料を支払うのは、土地の賃貸借契約書の増改築禁止特約が設けられていたり、新法借地権で借地契約を更新している場合に地主の承諾が必要な場合です。 契約書に承諾料の記載がなければ支払い義務はないですが、記載があるならその金額支払う義務があります。 建て替え承諾料を支払っても地主の承諾が得られないなら、裁判所に対する申し立てで地主の代わりに許可を得ることになります。

承諾料の相場は更地価格4%前後で、3~5%の範囲に収まることが大半です。 借地条件変更承諾料は、借地上の建物の増改築ではなく、構造だったり用途を変更する際に対価として支払う費用となります。 構造や用途の変更にあたるのは、木造から鉄筋コンクリート造に替えるようなケースです。 土地賃貸借契約では借地権と同様に、建築可能な建物の種類や構造に制限を設けています。 その結果の1つが借地条件変更承諾料で、更地価格の10%前後の金額が設定されます。 名義書換料は譲渡承諾料ともいって、売買や贈与で借主の名義変更を認めてもらう対価となる費用で、別名名義変更承諾料ともいいます。 この費用を負担するのは売主ですが、買主が負担する契約になっていることもあります。 相場は借地権価格の5~15%程度とやや範囲が広い傾向です。

権利金の相場や法律上の扱いとは

借地契約の権利金は、更地価格の60%から90%が相場となっています。 ただし、法律で明確に規定されているわけではなく、地主と借主の借地権者の間で合意して決められます。 相場は更地価格をベースに、土地がある地域の借地権割合を掛けて算出されます。 借地権割合は国税庁が設定しているもので、相続税路線価図を確認すれば記号から分かります。 例えば記号がAなら借地権割合は90%、Eなら50%となります。

権利金は法律上、その支払い義務が定められてはいないので、支払う慣行のない地域なら支払わずに済みます。 しかし慣行がある場合は、法律で取り決められていなくても支払う必要があるでしょう。 支払いの慣行がある地域で権利金を支払わず借地権を取得すれば、権利金に相当する金額が借地人に贈与された形とみなされてもおかしくないです。 これは贈与税が発生する恐れを意味するので、権利金の扱いや支払いについては注意が必要です。 権利金を支払わないことで贈与税が課せられるのは、権利金を支払う慣行があるにも関わらず、それを支払わずして親子間で相場並みの地代の授受が行われているようなケースが該当します。

逆に、相当の地代にあたる更地価格6%程度の年額の地代が支払われている場合は、贈与とみなされない可能性が高いです。 理由は一般的な地代よりも高い設定で、支払うべき権利金相当が地代に含まれているとみなされることにあります。 親子間でのやり取りは贈与税の判定を受けやすく、課税対象になりやすいので注意しましょう。

より確実に贈与税の課税を避けるには、権利金を受け取らない場合は地代も受け取らないこと、通常の地代を受け取るのであれば権利金も受け取ることです。 権利金を受け取らなくて地代を受け取るのであれば,相当の地代を受け取ると安心です。 法人として親が所有する土地を子供に貸すようなケースだと、権利金の授受なく地代の支払いがあると、権利金として認定され課税されるので注意です。 権利金を支払う慣行については、路線図や倍率表を見ることで有無が調べられます。

実は支払いの慣行には基準があって、土地評価に用いる路線図に借地権割合の記号がなかったり、倍率表の借地権割合が-だと慣行がないと判断できます。 というのも、借地権の取引慣行が認められる地域以外では、借地権の価額は評価しないという決まりがあるからです。 ただ権利金の支払いの慣行がなくても、地主がそれに相当する費用の請求ができないわけではないです。 地主の請求を拒むことは可能ですが、借地契約の締結ができない恐れがあるので、理由がなければ例え支払い義務がなくても払うのが無難です。

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