地主から地代の値上げ交渉をされた!借地人がとるべき行動と対策例とは

近年都市部ではオリンピックやアベノミクスの影響で地価が上がっています。反対に新型コロナウイルスの蔓延などで収入が不透明になりがちな状況の中、突然地主から地代の値上げをすると言われてしまったらどうすればよいのでしょうか。

借地人という立場であるとなかなか強く出ることができず、地主の思い通りに値上げの話を進められてしまったり、逆に借地人が値上げに反対であると強固に拒否をしてしまうと後々困ったことになります。では一体どのような対応をするのが適切なのか対策例を考えます。まず地主への返答をすぐにするのは避け、賃貸契約書の確認をすることが大切です。

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地代の値上げを要求されたらどうする?

地主が借地人に対して地代の値上げを行うためには、固定資産税および都市計画税が上がる、地価の上昇がある、近隣類似の土地よりも安かったなどの理由がなければなりません。借地借家法でも定められており借地人の同意なく勝手に地代を上げることはできません。通達されてしまったら、最初に賃貸借契約書を確認して、地代の値上げについて記載されている箇所があるか有無を見ることが大事です。

内容によっては借地人に交渉・相談の余地なしという厳しい条件の契約書も存在しますが、記載がある場合にはその内容に沿って地主との交渉や相談を行っていく事になります。記載が無かった場合でも、借地借家法では一定の条件の下、借地人の同意を得て値上げを行う権利が認められています。地代の引き上げ自体は法律で認められたものですが、地主からの要求があったからと言って必ず従わなければならないということではなく、拒否することもできます。

借地人側の経済状況があるためです。値上げは双方合意のもとにはじめて成立しますので、新たな地代が高すぎると思った場合には交渉してみるのも良いでしょう。しかしながら無理に通そうとはせず、その後の争いを避けるためにもまずは地主とコミュニケーションをとることが重要です。

地代の増額をする理由・どのくらい増額するのかなど抑えるべきポイントをしっかりと押さえておきます。借地人側も土地に対する税制の変更や借地周辺の地価や賃料帯がどれくらいか、世の中的な物価の上昇などを事前に把握しておくと同じ目線での話し合いが可能になります。不動産ポータルサイト内で情報を得たり、検索したりができるので使って調べておくと安心です。

地主との交渉のポイントを解説

借地人側からすれば、値上げというのは家計の圧迫にもつながりますから喜んで応じるなどということは無理な話でしょう。大体の場合は値上げをしないでもらうか、減額かの交渉・相談をすることになります。地主と交渉する場合には抑えるべきポイントや、話の持って行き方などのテクニックも必要になってきます。地主と借地人というのは借地契約をしているので本来であれば対等な立場であるなずなのですが、「貸している」地主と「借りている」という借地人ではやはり関係の強弱ができてしまいます。

ですので借りている側であっても、出された条件を鵜吞みにして従ってしまうことなく、きちんと理解して分からないことは聞いたり調べることが必要です。まずは、地主側の値上げしたいという根拠や判断基準についてきちんと提示してもらうようにします。ただ説明してもらうだけでは後々言った言わないとなってしまいがちなので、参考にしたデータや資料の開示を求めると良いです。できることならコピーなどをとって手元に持っておくと安心です。

地代の増額の幅によっては値上げを拒否するか転居・退去という選択を迫られてしまう場合もありえます。話し合いの進み方によってはお互いが感情的になってしまい、交渉がこじれてしまって収拾がつかなくなるようなこともあるでしょう。そうならないためにも値上げの妥当性があるのかをきちんと反論し、自身の経済状況が値上げされると苦しくなってしまうなど、客観的に説明できるようにしておくのが大事です。

落ち着いて冷静に順序だててを常に心掛けて話します。値上げ拒否か引っ越すかという2択だけではなく、値上げ幅を縮小してもらうとか、値上げ開始時期を遅らせてもらうなど地代そのものに関する条件の了承を受けるなどの第三の選択を模索することが重要です。その他にも値上げは承諾してもそれと引き換えに更新料の免除なども考えられるでしょう。お互いが妥協して歩み寄るという形に持ち込めれば一番よい納め方といえます。

地主からすれば長期的に安定して地代収入を得たいとというのが本心であると考えられますが、無理な地代の値上げ交渉によって借地人と争いになり退去・長期空き家になってしまった場合、非常に困ることと思います。ですので、現住居が気に入っているのであれば、現住居にはとても満足しているので地代の値上げがなければ長期居住したいと思っていることをアピールしておくと良いでしょう。

交渉がまとまらなかったら

どれだけ丁寧に交渉・相談を進めても話がまとまらないことはあります。その場合、地主から値上げに応じなければ転居・退居を要請されることがあるかもしれません。また、交渉が妥結しないままに新地代が適用開始日を迎えてしまうこともあります。このような状況になってしまったら、慌てずにまずは値上がり前の家賃を払い続けることが大事です。そうすれば転居・退居をする必要はないので、話し合いがこじれてしまっても元の住居に住んでいる間は従来の家賃を支払っておきます。

交渉は決裂したのだからと家賃を払わずにおくと家賃滞納となってしまい、そのことを理由に賃貸借地契約を解除されてしまう可能性があります。しかし借地人側がそういった対応をしようと思っても、地主側が交渉はまとまっていないが新地代の適用日を迎えたといって、値上げ前の金額の地代の受け取りを拒否するケースもあるでしょう。そうなってしまった時には、法務局の「供託」という制度を利用します。

供託というのは、法務局(地方法務局やその支局など)などの法務大臣が指定する出張所である「供託所」に地代を預けることで、地代などを支払ったこととみなす制度のことを言います。地主側か地代受け取りを拒否する、地主が行方不明で地代を支払えない場合などは、そのまま放置しておくと地代の滞納とみなされ、結果借地権や賃貸契約が解除されることになってしまいかねません。これらの事を防ぐために一度「供託所」に地代を供託し、その後問題が解決するまでまつことができるのです。

なお、両者の間で和解に至った場合は、この供託金の還付を受けることができます。手続きには実印と印鑑証明・住民票などが必要となりますので、申請書類とともに供託所に提出して還付を受けましょう。それでも地代の交渉が決裂した場合には、最終手段として調停または訴訟を起こすことになります。最初に地代の増減額について民事調停の申立てを行います。調停は、地主と借地人の間に裁判所が入ります。

裁判官1名と弁護士や不動産鑑定士といった調停委員2名を選定した調停委員会が裁定を行い、調停委員会は、地主と借地人双方の意見を聞き、それぞれの専門的見地から助言や説得を行ったうえで、提出された資料などを元に調停案が示されます。最後に具体的な地代の金額を示し、地主と借地人の双方がその金額で合意するかしないかの決断を求めます。調停案の内容について、交渉したり反論したりする余地は原則なく、調停の決定は覆すことができません。

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