認知症の初期症状を解説。おもいあたる節がある場合は相続準備を

日本は世界を俯瞰しても、少子高齢化社会が進行しています。100歳を超える長寿を全うするというのが珍しくない状況になる一方で、認知症患者は急増し相続をめぐって相続人の間でトラブルになるという事例も急増しているのが実態です。

認知症は現在の医療水準で治癒することは見込めませんが、適切なケアや治療に向き合うことで進行を遅らせたり日常生活を長期間維持することも可能になっています。認知症は高齢者特有の事象といえ、罹患してからさほど長くないタイミングで相続するという事態も想定されます。認知症への備えと相続対策は表裏の関係にあることを肝に銘じて、今後の事態の進展に備える必要があります。

売却をお急ぎでご検討の方へ。最短で査定と解決のご提案が可能です

交渉から取引まで、訳あり物件専門の当社にお任せください

そもそも認知症とは

かつては「痴呆症」との病名で認識されていた認知症ですが、実際に罹患するメカニズムについては漠然としたイメージを抱いているのが現実ではないでしょうか。最近では認知症についての研究が進展し、種類やそれぞれの特徴や対処法についても、方向性が明らかになりつつあります。

最初に認知症の意義を確認しておくと、脳細胞が何らかの原因でダメージが蓄積することで認知機能を中心に脳機能が障害されてしまう症状を多彩な形でもたらす病気のことです。認知機能は判断力や記憶力で主要な部分は構成されます。日常生活においてこれらの機能は、意識されるまでもなく動作していますが、当たり前の機能が円滑に動作しないことで深刻な軋轢を引きおこし、晩年のQOL(生活の質)を著しく低下させるのが特徴です。

認知症でひとくくりにさえることが多いのが現実、高齢者になると発症するのも致し方ないと考えられていることも少なくないわけですが、発症のメカニズムの解明はかなりの部分まで進んでいます。 アメリカや西欧を筆頭に日本や中国などでも、高齢化の進展に伴い患者数が急増している、アルツハイマー型認知症は、脳細胞に特殊なタンパク質が蓄積することにより発症することが知られています。

脳細胞全般がダメージを被るため、画像検査上でも脳細胞全体の萎縮が明白に観察されます。 脳梗塞や脳出血などの脳卒中発症後の後遺症で認知症を発症することも珍しくありません。 温厚だった性格だったのに加齢に伴い、攻撃的になり同じ行動を反復継続する「ピック病」、妄想や幻覚を主訴にして老人性のうつ病や統合失調症との鑑別が問題になる「レビー小体型認知症」など多彩な経過をたどることが知られています。

もちろん器質的要因として頭部外傷や脳腫瘍などのほか、腎不全や肝不全などの代謝的要因、アルコールの過剰な接種や慢性的な薬物接種など、数多くの要因が重複して認知症の発症につながるファクターを構成していることも、考慮する必要があります。 いずれにせよ認知症は一度発症してしまうと、正常な状態にもどすことはほぼ不可能とされています。

とはいえ適切な治療や日常生活上のリハビリや介護を活用することで、症状の進行を抑制したりQOLを長期間維持するなどの効果の持続を期待することは可能です。周囲の方は本人に認知症をうかがわせる症状や振る舞いが見られるようであれば、積極的に認知症外来や脳神経外科などの診療科目を掲げる医療機関を受診する姿勢がもとめられます。 認知症の症状は大別して、「中核症状」と「周辺症状」に分けることができます。

「中核症状」とは、脳内の神経細胞の障害を原因で出現する脳機能障害のことで認知症独特の兆候を形作るものと定義することができます。 中核症状は認知症であれば誰でも観察されることがあり、よくある症状では記憶障害・見当識異常(自分のリアルタイムの状況を認識できない)・実行力障害(意識した動作ができない)・失語や失認などがしばしば同時に出現し、日常生活を送るうえで深刻な葛藤の原因となります。

「周辺症状」とは、認知症に随伴する症状のことを指しており心理症状と行動症状に分類されます。気分が落ち込んだり、妄想に囚われる・屋外を徘徊するなど介護家族にとっても負担が多くバラエティに富む病状を呈します。これらの症状は単独で観察すれば、さほど深刻度をもって受け止められることはないかもしれません。しかし実際には一連の症状は、時間経過にともなって重症度を増し、他の症状も出現するようになります。つまり認知症は、がんや心機能障害などと同様に進行性の疾患であり、適切な治療や妥当なケアをしないことには急速に悪化するリスクを抱えているわけです。

認知症の相続は大変

認知症のリスクは先進国において共通している、高齢化に伴うリスクです。認知症の原因は多岐にわたり、想定外の病気や事故の遭遇や慢性的な生活習慣など、発症のトリガーになる要因は誰にでもこころあたりがあるものです。認知症の契機になる要因をくまなく排除することは困難ですが、生活習慣の改善や持病の適正な治療を心がけることで認知症の予防や、発症しても長期間にわたり普段通りの生活を送ることが可能になります。

認知症は次第に症状が進展する進行性の疾患の特徴をもっており、進行具合に応じて色々な症状を呈します。認知症が進行性の経過をたどることを前提にすれば、初期・中期・末期に分類することができます。 そもそも認知症というのは、認知機能全般の障害を引き起こす点に特徴を持ちますが、認知機能症状をもたらす病気は認知症以外にも多数が存在しています。認知症の種類により初期症状もそれぞれ異なります。

もっとも認知症に共通して観察されるのが、「長期記憶は維持されているものの、短期記憶に支障を抱えている」というものです。平たく言えば、数十年前のエピソードは記憶の中から引き出せるのとは対照的に、数十分や数時間前の記憶が抜け落ちているというものです。 認知症の初期症状では、記憶障害のほかにも日常生活において計画をたてて物事を実行できなくなる(実行機能障害)、時間や周囲の環境を把握できない(見当識障害)・無気力無関心のほか家族にものを盗まれたと思い込むような被害妄想など多彩な経過をたどります。

認知症が進行すると、記憶障害は一層顕著になり自立して生活することが困難になります。初期症状の悪化に加えて、さらに多彩な症状の出現をもたらします。具体的には近所を歩いていて迷子になったり、自宅にいながら居場所を正確に認識できないなど介護者にとっての負担の深刻度も増加します。

認知症が末期にまで進行すると、見当識機能や歩行機能・租借機能など日常生活に必要不可欠な機能があまねく障害され、常時介護が必要な状態になってしまいます。最終的には脳機能障害と身体機能低下により、いわゆる「寝たきり」状態を余儀なくされるわけです。

認知症になってから相続の当事者になるのは相当の軋轢を引き起こします。遺産分割協議をするには意思能力が必須になるところ、認知症では意思能力が直接破綻するからです。とはいえ相続の必要性はコンディションに関係なくふりかかるもので、成年後見人も積極的に利用するのがトラブル防止の上でもお勧めです。

不動産の相続は特に家族が揉める為、生前に解決を

最近の少子高齢化の深刻化は、相続をするフィールドにおいて円滑に話し合いを進めることが困難になるという現象を増加させています。相続財産は相続人の間で遺産分割協議で最終的な帰属先を合意しなければなりません。ところが相続財産をめぐって誰が具体的にどのような取り分を得ることになるのか、この点につきトラブルにつながりがちだからです。

従来の日本の家庭では、少なくとも一人もしくは二人きょうだいが存在しているため、後継者に事欠くことはありませんでした。不動産は安定した資産価値をもっており、持ち家くらいは子供に残しておきたい親心が評価される時代風潮が永らく尊重されてきました。

しかし時代はかわり、生活の本拠をすでに構築している子供世代にしてみれば、今後も居住する予定のない実家は固定資産税をはじめとして、管理維持するには高いコストを支払う「負動産」としてのマイナス面が強調されるようになってきました。 とりわけ社会問題化しているトラブルが、相続が発生したものの適切な管理がしないまま放置される、「空き家」の急増です。住居は住人がいないままでは、急速に老朽化します。

さほどの敷地が無い広さの敷地でも、管理放置したままでは雑草が繁茂し害虫が大量発生することも当然ありえます。 親族が近隣に居住していれば、何らかの形で空き家管理に関心をもちサポートしてくれることも考えられます。この点除草や屋内清掃などの最低限の管理作業で少なからず労力を必要とし、専門家に依頼すればコストもかかります。

負担が大きくなれば親族からのサポートも期待することはできないまま、不適正管理の状況のまま放置されることも考えられます。 しかしこのような空き家問題のリスクも、生前処分をはじめとした対策に積極的に向き合うことで防止することができる側面があるのも確かです。不動産の相続は親族間でトラブルになりがちだけに、生前整理の一環として、生前処分などの選択肢を積極的に検討することをお勧めします。

売却をお急ぎでご検討の方へ。最短で査定と解決のご提案が可能です

交渉から取引まで、訳あり物件専門の当社にお任せください