介護に向けて、親名義の家を賢く売って老後の資金準備を

高齢になった親の介護費用を作るために実家の売却を考えている人もいるのではないでしょうか。介護費用は充分に用意があったとしても、親が入院していたり施設に入っていたりといった場合には実家は空き家のままになってしまいます。

様々なリスクを避けるためにも家はそのままにせず、タイミングを見て処分を行う必要があります。この記事では親名義の家を売却するために使用される任意代理や成年後見制度、これまで通り家の居住しながら暮らす方法などを紹介しています。実家の売却を検討しているが親の説得が難しいといった場合にも、ぜひ参考にしてみてください。

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意思確認が出来るなら、委任状で売却を

不動産は所有者の意思と同意がなければ売却することはできません。自宅の所有者が親である場合には、やはりその意思と同意が必要になります。しかし高齢になってしまった親自身が自宅の売却手続きを行うのは難しいといった例も多いでしょう。売却には手間と時間がかかり、不動産会社や買い手との交渉なども時には必要になります。片付けや引越し先となる住居の用意を含めて、元気な人ではないと難しい面があるのは事実です。

所有者である親が売りたいと思っている、しっかりと意思が確認できる状態なら、委任状を書いてもらうことで自宅の売却手続きなどを進めることができます。本人のが署名捺印した委任状を作り、子供や兄弟姉妹などの親族が代理人となることで不動産会社との交渉が可能でしょう。

委任状を作成して親族などに代理人になってもらう方法は任意代理と呼ばれています。委任状は特にフォーマットなどは定められていないため、任意の方法で署名捺印を行います。委任する内容もすべて記載し、委任をした人の印鑑証明書と住民票も添付しましょう。 任意代理を行えばすべての手続きが可能になり家の売却も完了できるというわけではないため、注意が必要です。売却はあくまで所有者の意思によって行われなければなりません。

委任状だけを持って売却を進めようとする代理人を不動産会社が不安に思うのは、当然のこととも言えます。 そこで不動産会社は最終的な意思確認は所有者本人に対して行います。不動産会社のスタッフや司法書士が確認を行うこともありますが、面談においては所有者本人が売却へのはっきりとした意思を示す必要があるでしょう。

高齢のため体が不自由で施設から出られない、入院中なので売却手続きを子供に任せたいといった例は多々あります。任意代理を使用する場合には、自宅の所有者である親がはっきりとした意思を示せる状況にあることが第一です。できるだけ早めに相談をして、話をすすめることが大切になります。

意思確認が出来ないなら、成年後見制度を

認知症などの事情により自宅の所有者である親の意思確認が難しくなってしまった倍には、成年後見制度の利用を検討してみると良いでしょう。成年後見制度は意思能力が欠ける状態になってしまった人に適応されるもので、主に弁護士や司法書士などが後見人になります。 成年後見制度によって選任された後見人は財産の管理が可能となっています。

自宅をはじめとした所有不動産も対象となるため、親の意思確認ができない、介護費用を工面するために売却が必要といった際に頼りになります。なお、あくまで本人の後見人として選任されているため、財産の管理はすべて本人の利益になるように行うのがポイントです。家の売却についても本人のためになる場合に行い、そうでなければ同意を得ることは難しいでしょう。 重い責任を伴うため親族での代行は難しい、法的なサポートが必要といった点により弁護士や司法書士に依頼することになりますが、この場合には報酬が必要です。

また、成年後見制度は自宅の売却のために作られているわけではなく、被後見人の今後の財産管理を行います。家の売却が終わっても解除されず、そのまま財産管理を続けるため定められた報酬が発生します。 成年後見制度を使用したい人は家庭裁判所への申立を行い、審理と選任を待つことになるでしょう。

成年後見人だからといってすぐに売却が行えるわけではなく、家庭裁判所に居住用不動産処分の許可の申立てを行う必要があり、この審理でも時間がかかります。 成年後見制度では時間がかかりすぎるといった場合には、後見手続きのサポートなどが用意されており、売却にも力を貸してくれる不動産会社を探してみると良いでしょう。いずれの場合も意思疎通や意思確認が難しくなる前に、できるだけ早い段階で親の意向を確認しておくことが重要です。介護費用を作るために自宅の売却を所有者本人が希望している場合には、 その後の手続などもスムーズに進めることができます。

親が家を手放さない時の賢い説得方法とは

介護費用を工面するために自宅の売却が必要なのに、所有者である親本人が手放したがらないという例は多々あります。長年暮らしていた家を離れるのはつらいことですし、家族や子供との思い出が詰まった家を売りたくはないでしょう。また、高齢になると新しい環境に移ることへのストレスも大きくなります。住み慣れた家と長く交流を続けてきた近隣の人々との別れは、人生の最後につらい思いを残す可能性もあります。

しかし、現実的には暮らしてくためには資金が必要であり、介護費用の問題は深刻です。家を離れたくないという親の気持ちは充分に判っていても、自宅を売却しなければ介護費用が工面できない人も増えています。親が売却に応じてくれない場合には、どのように説得すれば良いのでしょうか。 親の説得で活用したいのがリスクとメリットの説明です。体調を崩して入院中であったり一人暮らしが難しくて施設に入居中だったりといった人は、自宅を残してきています。長期にわたって空き家状態が続くとトラブルの発生の元になってしまいます。

災害などで家が壊れてもすぐに破損部分に気づかず劣化が進んでしまいますし、火事が発生する可能性もあるでしょう。不審者が入ってきて寝床にしたり、放置していた庭にゴミが投げ込まれるかもしれません。いずれの場合も親しく交流をしてきた近隣の人に迷惑をかけてしまいます。 現在は病院や施設で暮らしていたとしても、毎年の固定資産税が変わるわけではありません。使用していない家でも固定資産税の支払いは同様です。

空き家状態の自宅を処分することで、固定資産税にかかっていた支出を減らすことができます。 さらに現在行われている3000万円の特別控除の特例優遇制度を受けられなくなる可能性もあるでしょう。この制度は、マイホームの売却については一定金額まで所得税などの税金が発生しない施策です。制度を使わないと税金の支払金額は大幅に増えてしまいます。制度が適用できる期間内に自宅の売却を済ませてしまったほうが良いでしょう。

自宅を処分せずに残した場合、遺産分割で親族間のトラブルが発生するかもしれません。相続人が複数いる場合には不動産の分割協議は難しくなります。いくらこれまでは仲良く暮らしていた親族であっても、兄弟姉妹で争いを繰り広げる可能性は無いとは言い切れないでしょう。親としては子供同士が争う姿は見たくないのが本音ではないでしょうか。 自宅にずっと住みたいのなら、リースバックの利用を勧めてみるのもおすすめです。リースバックは不動産会社に自宅を売却しつつも、賃貸契約を結んでそのまま住み続ける方法です。

リースバックにすることで月々の家賃を不動産会社に支払う必要はありますが、長年住んだ家から離れることなくそのまま居住できるのは大きなメリットとなっています。周辺環境を変えたくない、近隣の人ともこれまで通り仲良く過していきたいと願う高齢の親にとっても最適な方法です。 自宅の売却についての話し合いは親子ともについ熱くなってしまうこともありがちです。高齢になり体が弱ってきた状態だからこそ、子供達と一緒に楽しく暮らしてきた家を離れたくない気持ちは強くなります。子供の立場から見ても、そんな親の気持ちは充分に理解できるのではないでしょうか。親の気持ちを汲み取りながらも、最適な答えを導き出すためには利用できる方法や制度を把握しておく必要があります。

単純に売却するだけではなくリースバックを使用する、高齢者の家の売却をサポートしてくれる不動産会社を探すなど、できるだけ親が納得できる方法を探しましょう。その体験は、やがて自分が高齢になった時に何をするべきなのかを知るための大切な学びにもなるはずです。

まとめ

親が所有者になっている家を売却するには、いくつかの方法があることが分かりました。また、任意代理や成年後見制度を利用することで、スムーズに売却を進めることもできます。親の意思がはっきりしているなら親族による任意代理、認知症などで意思確認が難しいなら成年後見制度を利用しましょう。

人によっては長年暮らした自宅を離れたがりませんが、空き家や相続などのリスクを説明した上でリースバックなどを利用する方法がおすすめです。リースバックを勧める場合にも内容をしっかりと説明し、子供や家族と長く暮らした自宅を離れたくない、高齢になってからの環境の変化は難しいといった親の気持ちをしっかりと汲み取ってあげることが大切です。

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