持ち家を売却すると、年金の受給額に影響するかをやさしく解説します

持ち家を売却して、「階段の昇り降りのないマンション住みたい」「手持ち資金を増やしておきたい」「相続で家族が揉めないために現金にしておきたい」と考える年金受給者の方も多いのではないでしょうか。

しかし、持ち家を売却すると、所得税などの税金の発生や健康保険料が上がったり、控除の適用ができなかったりするため、国民年金・厚生年金・共済年金などの公的年金の受給額に影響が出るのではと考え、なかなか持ち家の売却が踏み切れない方が多いようです。 ですが、実際はそのような心配の必要はありません。年金受給者が不動産を売却しても年金が減額されることはないのです。

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結論、不動産売却では年金には影響しない

結論から先にいうと、不動産売却では年金には影響はありません。 持ち家を売却しても、基本的には不動産売却の税金が掛かるだけです。それにより、年金が増えることも減ることもありません。 持ち家を売却すると、売却金額から取得費(不動産を購入した際の金額とその際に掛かった費用)と譲渡費用(不動産を売却する際に掛かった費用)を引いた譲渡所得が発生します。

それにより、所得税などの税金の発生や健康保険料が上がったり、控除の適用ができなかったりしますが、それと年金は別物なのです。 また、年金受給者の中でも、会社に勤務されている方やアパートなどを経営している場合の賃料収入がある方は「在職老齢年金制度」のことを心配されている方も多いでしょう。 「在職老齢年金制度」とは、70歳未満の方が厚生年金に加入して働く場合などに厚生年金と給与等の額の調整を行い、場合によっては支給停止となる制度です。

なお、この制度で支給が停止になりうるのは老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金はこの限りではありません。 不動産売却で得た譲渡所得は、給与や賞与に該当しないため「在職老齢年金制度」の適用はされません。また、アパートなどを経営している場合の賃料収入も同様に減額にはならなのいです。 年金受給者は、不動産売却によって年金の受給額への影響を心配することは不要です。 ただし、介護サービスの利用料金、健康保険料、扶養から外れる可能性については注意する必要があります。

年金以外の部分で注意すべきポイントも

持ち家を売却しても、年金の受給額に影響はありませんが、「介護サービス」「健康保険料」「扶養」には影響します。 「介護サービス」は、不動産譲渡所得の影響があります。基本的に介護サービスの利用者負担は1割(所得の多い方は2割)です。しかし、65歳以上で本人の合計所得が220万円以上の場合には、介護サービスの利用者負担の割合が3割となることがあります。

「健康保険料」は、不動産を売却して所得が増えると、健康保険料が上がる場合があります。 会社員や公務員が加入している健康保険は、会社からもらえる給与所得に応じて保険料が決まりますが、75歳未満の年金受給者や自営業者などが加入している国民健康保険に関しては本人の総所得に応じて金額が決まるのです。そのため、支払う保険料が上がる可能性が生じます。また、後期高齢者の国民健康保険も前年の所得に応じて金額が決まるため、保険料が上がる可能性があるのです。

「健康保険料」が上がる可能性について説明しましたが、保険料が上がらない場合もあります。 保険料が上がるのは「不動産売却益(譲渡所得)が出ている時」です。譲渡所得の金額がプラスの場合は、国民健康保険の保険料に影響がありますが、マイナスの場合は影響がないのです。 また「3,000万円特別控除の適用要件」を満たしている場合は、保険料は上がりません。

その適用要件とは、「自分が住んでいる家で、家と敷地などをあわせて売ること」「住んでいない・家がなくなっている場合は、住まなくなってから3年経った年の年末までに売ること」「親子間・夫婦間などの売買でないこと」「売った年を含む過去3年で3,000万円の特別控除の特例を受けていないこと」「売った年を含む過去3年でマイホーム買換えや交換の特例を受けていない」「収用等の特例など他の特例を受けていない」である。

これらの要件は専門家以外の方が該当するか否かを判断するのは難しいです。専門知識のある税理士、税務署の相談窓口、不動産会社などに相談したほうが良いでしょう。 「扶養」には、「所得税法上のもの」と「健康保険法上のもの」とがあります。 「所得税法上」の対象は「6親等内の血族と3親等内の姻族」になります。収入から一定の金額が控除されるため、家族の年齢や同居の有無によって違いますが、所得税や住民税の負担を小さくすることができます。

「健康保険法上」の被扶養者は健康保険料を収めなくて良いというメリットがあります。なお、国民健康保険の場合には扶養の概念がありません。 不動産を売却した場合、所得税に注意が必要です。 例えば、持ち家の名義人が妻だった場合、売却すると、妻に一定以上の所得があるとみなされ、扶養から外れる可能性があります。 対策の一つとして、不動産の名義を夫に変更することがあげられます。この場合は名義変更で高額な贈与税が生じる可能性があることに注意が必要です。

なお、20年以上の婚姻期間のある夫婦間の贈与では2000万円まで非課税となる制度があります。 もし、不動産を売却することによって扶養を外れる場合でも、不動産売却の影響で外れるのは1年間のみです。要件を満たせば、翌年にはすぐに扶養に戻れます。 また、譲渡所得の金額がマイナスの場合は、国民健康保険の保険料と同じく影響がありません。 不動産は所有しているだけで固定資産税が掛かります。一時的な譲渡所得で控除から外れても、売却した方が良い場合も多いです。よく検討されることをお勧めします。 また、年金受給者でもお勤めの方で、職場から扶養手当を受けている場合は就業規則を確認したほうが良いでしょう。一時的な所得があっても引き続き貰えるかどうかは、職場によって異なります。

まとめ

持ち家を売却しても、年金の受給額に影響はありません。 ただし、売却して、譲渡所得がプラスの場合は「介護サービスの利用料金」「健康保険料」「扶養」に影響があります。

しかし、譲渡所得がマイナスの場合は、この3つにも影響はありません。 譲渡所得がマイナスとなる見込みの方で、不動産を手放したいという気持ちがある方は、早めに専門家に相談することをお勧めします。不動産は所有しているだけで固定資産税が掛かります。

譲渡所得がプラスになる見込みの方も、持ち家を終の棲家と考えていないのであれば、早めに売却を検討されたほうが良いでしょう。不動産は相続問題で揉めるケースが多々見られます。売却して現金にしておくことで、遺産分割がスムーズに進みやすいケースが多いです。 持ち家の売却を考えるのであれば、慎重に様々な角度から検討したほうが良いでしょう。

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