認知症の予防ケアに必要な事。不安になったら相続準備を

認知症といえば誰もが知っている言葉で、近年は特に耳にする機会が増えている傾向です。 認知症は加齢と共に発症するリスクが高まる疾患で、少子高齢化時代において誰にとっても無視できない、身近なものだといえます。

親にとっては自分がそうなってしまうのではないか、子供には親が発症するのでは、もしそうなった場合はどうすればと悩むことも珍しくないです。 大切なのは認知症について正しく理解すること、疑われる場合にどうするべきかを覚えておくことです。 また予防が期待できる方法もありますから、ネガティブに考え過ぎて悲観しないことが大事です。

売却をお急ぎでご検討の方へ。最短で査定と解決のご提案が可能です

交渉から取引まで、訳あり物件専門の当社にお任せください

認知症の特徴

認知症は脳の変化によって発症する疾患で、特定のたんぱく質が脳内に溜まることで、脳が萎縮したり脳機能が低下するのが特徴です。 初期の認知症は物忘れに始まるので、最初は認知症と普通の物忘れを見分けるのが難しいです。 やがて記憶に不確かなことが多くなったり、更に進行すると外出して迷子になるようになります。

物忘れの症状は記憶障害、自分がどこにいるのか分からなくなる症状は見当識障害に分類されます。 他にも今までできていたことができなくなる理解力や判断力の低下、段取りに時間が掛かるようになるといった症状もあります。 記憶障害は数時間前の出来事を忘れる程度から、同じことを何度も尋ねるようになったり、物忘れに加えて忘れ物も増えるなどして症状が進行していきます。 重度になると人や物の名前も忘れてしまったり、分からなくなってしまいます。 見当識障害の初期は今日が何月何日か、何曜日か忘れてしまったり、分からなくなるケースが多いです。

知らない道で迷子になったことは誰しも経験があるものですが、認知症の迷子は普段通る道で迷子になる点が決定的に異なります。 そして、昔の出来事が思い出せなくなるばかりか、昔と最近のことが混濁して、昔の出来事をまるで最近のことのように話し始めます。 理解力や判断力の低下は、普通にできていたことができなくなり、人に何かを説明するのが難しくなっていきます。 それから他人の会話の内容が理解できなくなったり、テレビのやり取りも分からなくなります。

行動にミスが多くなるのも認知症の特徴の1つで、進行して症状が重くなると、単なる加齢による機能の低下とは異なることに気がつきます。 認知症は脳の機能が低下する疾患ですから、仕事のペースが遅くなったり、得意だったことが苦手になることも少なくないです。 他人から見ておかしいと感じることには、季節やその日の気温に合っていない服装をしていることが挙げられます。 気温が高いのに着込んでいたり、逆に肌寒い日なのに薄着などです。

認知症の影響は手足の機能にも及びますから、食事中に食べこぼしたり食べこぼしが目立つようになります。 脳の変化は精神面にも影響があって、気分の落ち込みなどのうつ症状や、幻覚が見えるようになるケースもあります。 自分の通帳や財布などが誰かに盗られたと訴え掛けることも、認知症では割とあることです。 思い込みと決めつけによるこういった症状は、物盗られ妄想と呼ばれています。

認知症を予防する為にできること

認知症は寝たきりだったり、触れる刺激が少ない人に発症しやすいといわれています。 運動不足で足腰が弱ってくると、躓いたり転んで怪我をする恐れが強くなります。 若い人は早く治りますが、高齢者は骨が弱くなり骨折しやすく、一度骨折すると入院期間が長くなります。 退院した後も通院が必要だったり、折れたところが再び折れやすくなるといった問題もあります。

このように、骨折1つで寝たきりになる可能性があるのが高齢者で、寝たきりになる状態を防ぐことこそが、認知症の予防にも繋がるわけです。 自分の足で外出できれば行動範囲が広く保てますし、散歩をするだけでも季節や景色の変化、ニオイや音といった刺激が得られます。 こういう五感で受ける刺激が認知症の予防には重要で、1日中テレビを見ているだけのような、受動的な脳の活動とは異なる状態に予防の鍵があります。

体力を維持するには1にも2にも運動で、ハードな筋トレは必要ありませんが、意識的に歩くようにしたり、プールでいわゆる水中ウォーキングをするのもおすすめです。 足を動かすと、下半身に溜まった血液が上半身に押し戻されますから、脳の血流も良くなって認知症になりにくくなります。 認知症の予防には、筋トレのような無酸素運動よりも、通常より心拍数が早い状態を一定時間保つ有酸素運動の方が最適です。 運動は少なくとも週3回が理想的といわれており、1回あたり30分歩くだけでも違います。 ポイントは散歩レベルの速さではなく、早足を心掛けて速いペースで歩くことです。 長時間の運動を高頻度で行うよりも、あまり長くない時間でも一定の頻度で長期間続けることが大切です。

心地良い疲労感は眠りを深くするので、睡眠の質も向上して脳に良いです。 認知症には様々な要素が関わっていますが、当然ながら食事も関係します。 偏った食事よりもバランスが良い方が好ましいのは、認知症の予防においても同様です。 WHOは認知症を予防する為に地中海料理を推奨しており、肉より魚を多くして、野菜や果物、豆類も採り入れることが大切としています。 白米よりも玄米を始めとした未精製の穀物を重視しつつ、薄味を心掛けて塩分を控えることもポイントです。 加工食品ではなく新鮮な食材、季節の食材を使った料理を美味しく、楽しくいただくのが良いでしょう。

そしてお酒やタバコは控えるのが望ましいです。 頭を使うことが脳の活性化、ひいては認知症を予防することに繋がります。 いわゆる脳トレが認知症を完全に防ぐわけではありませんが、認知症になりにくくなったり、発症しても進行が緩やかになるといった作用に期待できます。 頭を使うと脳の血流が増えるので、細胞も活性化されて認知症の原因物質が蓄積されにくくなるのだと考えられます。

糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、認知症の発症リスクを高める要因です。 生活習慣病そのものもそうですが、偏った食事や暴飲暴食、怒りっぽさや運動不足といった、生活習慣病を引き起こす習慣にも問題があります。 1型糖尿病のように先天性の病気は別ですが、不摂生によって生活習慣病を発症したり悪化させているのでは目も当てられないです。 若い人は若さで何とかなることもありますが、高齢になると認知機能が低下しやすくなったり、認知症を発症することになり得るので油断禁物です。

孤独は認知症の発症率を高めるといわれているので、積極的に他人と交流するようにしたり、同じ趣味の人と集まるような社会活動も肝心です。 家にいて1人で過ごす時間が長かったり、家族が離れて暮らしていて独居老人状態になっている人は、周りの人達が関わるようにして支えたいものです。 意外かもしれませんが、耳の聞こえや歯の状態なども関係しています。 難聴や歯周病はいずれも脳に影響しますし、それこそ溜まった耳垢や合わない入れ歯も発症リスクを高めるので、定期的に受診してケアすることが大切です。

認知症の相続は大変

認知症は気をつけていてもなる時にはなってしまう疾患ですが、症状の悪化だけでなく相続が大変になる問題もあります。 高齢者は騙されて詐欺に遭いやすくなりますが、その理由の1つが認知機能の低下です。 認知症になると持っている本を何度も買ってくるようになったり、必要のない契約をしてしまうといった問題が発生します。 契約すら不安を覚える状態になるので、相続ともなれば大変ですし、遺言書を作成することも非常に難しくなります。

他人の言うことに疑問を持たず、何でも言われた通りにうなずいたり、否定しない状態だと、話し合って何かを決めることも困難です。 相続には様々な形がありますが、親族の誰かが勝手に認知症になった本人の財産を使っているとしたら、認知症だけの問題に留まらなくなります。 遺産分割協議も本人に理解力、判断力がなければ話ができないので、改めて認知症になると相続は大変だと分かります。

こういった不安を抱えていたり、既に話し合って相続を進めるのが難しい場合は、成年後見人について考えることをおすすめします。 成年後見人は成年後見制度に基づき選任される人のことで、本人に代わり契約に関することだったり、財産などの法定権利を担うことになります。 選任を行うのは家庭裁判所で、法定権利を担うのに適切と思われる人が選ばれます。 この制度が利用できるのは、本人が知的障害だったり、認知症を患っているようなケースです。

成年後見人は資格がなくてもできますが、誰が選任されるかは家庭裁判所の判断次第です。 ちなみに未成年者や破産者、行方不明になっている人は、いうまでもありませんが選任の候補から外れます。 家庭裁判所で解任されたことがある法定代理人や保佐人、補助人なども同様です。 それと本人と訴訟状態にある人も成年後見人にはなれませんし、そもそも資格を持たないです。 成年後見人の責任、役割はとても重要なので、一度認められると簡単には変更されないです。

認知症の本人に代わり契約の判断や締結、財産の管理などをすることになるので、権利の範囲や職務についても細かく定められます。 不動産の処分のように、特に重大な決定については、家庭裁判所にお伺いを立てて許可を得ることが必要です。 しかし、成年後見制度の利用には手続きが必要だったり、選任者に負担が発生するなど、決して簡単なことではないです。 認知症になる前で、本人にまだ判断力がある状態なら、家族に財産などの管理を任せる家族信託も検討できます。

不動産の相続は特に家族が揉める為、生前に解決を

認知症の人の相続はそれだけでも大変ですが、不動産となると更に家族が揉めるトラブルの原因になりやすいです。 相続人が多いケースの場合だと、不動産を親族間でどのように分割するかといったトラブルが起こります。 話し合いで解決できるなら良いですが、話し合いが平行線をたどったり、それに応じることすらないとなると大変です。

トラブルが発生すると長引くことになり得ますし、家族関係が悪化してしまうことも懸念されます。 不動産が空き家になってしまうと、売却するのかどうか、誰かが住むとしたら家賃はどうするかといった問題が出てきます。 普段は全く顔を合わせないような親族は、時間を作って話し合いの場を設けるだけでも一苦労することがあります。 遺産相続に発展した場合は、遺言書があれば揉めずに済んだのにと考えることも珍しくないでしょう。

このような不動産の相続におけるトラブル、手間や労力などを避けたいなら、生前のそれも早めに解決を済ませるのがベストです。 相続で厄介なのは、本人が財産についてしっかり考えをまとめていなかったり、死後に備えて準備を進めていない場合です。 認知症のように、判断機能が低下する状態になってしまった人は仕方がないといえますが、それこそ成年後見制度だったり家族信託を検討するべきです。

認知症は突然発症したり、急激に進行するケースも存在しますから、早め早めに余裕を持って生前の解決に臨むのが賢明です。 空き家になった不動産は時に誰も関わろうとしなくなったり、面倒だからといって話し合わない親族が出てくることもあります。 反対に不動産は自分のものと言わんばかりに、権利を強く主張する人が出てくるのもあり得る話です。 とにかく、本人不在の相続は家族で話し合って解決する必要があるので、体力がいりますし時間も労力も使います。 関わる全ての人が疲弊しますし、揉めに揉めて着地点が見えなくなると裁判ということにもなるので、可能な限り生前に解決するようにしたいものです。

売却をお急ぎでご検討の方へ。最短で査定と解決のご提案が可能です

交渉から取引まで、訳あり物件専門の当社にお任せください